キッズリターン

キッズリターンイメージ画像

北野武監督の最高傑作との呼び声も高い、少年二人の青春と挫折を描いた作品。落ちこぼれ学生で親友同士のマサルとシンジが、一方ではプロボクサーとして活躍し、一方ではヤクザとして成り上がっていく。しかし二人とも頂点に上り詰めることなく挫折し、再び落ちこぼれてしまう。それでも人生を諦めずに、明るく、バカに、生き抜いていこうとする二人の姿が感動を呼ぶ。『キッズリターン』は北野武フィルムの中で、もっとも泣ける作品だといえる。

金子賢や安藤政信といった当時は初々しい面々から、石橋凌、平泉成、モロ師岡など渋い役者も多く出演。そして、大杉漣や寺島進、津田寛治など北野武フィルム常連の役者も顔を揃えている。

名言1・・・マサル

マサル「職探しだよ!」

  

キッズリターン』はシンジが米屋の配達をして働いているところに、ヤクザを辞めカタギとなったマサルが突如現れるシーンから始まる。そして、マサルとシンジは再会を懐かしみ、昔と同じように自転車を二人乗りして、通っていた高校へと出向くのであった。しかし、ヤクザからの転職っていうのもいろいろと難しそうではあるが・・・・・・。

名言2・・・マサルとシンジの担任教師

マサルとシンジの担任教師「渡辺、外ばっかり見てるんじゃない! どーうせ、いつものバカたちだ」
  

マサルとシンジが授業をサボり、校庭で自転車を乗り回し遊びはしゃいでいるのを、思わず眺めてしまった渡辺君に、マサルとシンジの担任教師がした注意を名言としてピックアップ。この言葉から、いかにマサルとシンジが落ちこぼれているか、よくわかる。それにしても、いつものバカってねえ。

名言3・・・マサル

マサル「布団に入り目を閉じるとサチコさんの顔が浮かんでくるのです。そして僕に微笑みかけてくるのです。そうです、僕はすっかり貴女のことを愛して、愛してしまいましたぁ!? おい、愛してしまいましただってよ! はは、恥ずかしいぃ、なんだこれおい! うわははっ!」

マサルは、喫茶店の店員・サチコに恋する同級生のラブレターを強奪し、シンジと勝手に読んで大爆笑。結局、純愛少年はサチコに思いを届けられなかった、無念・・・・・・。しかし、高校の頃は他人の恋愛話って笑えたよなあと、見る者に青春を思い出させてくれた名言だった。

名言4・・・橋田先生

橋田先生「君たちちょっとどいて。そこ停めるから、ちょっとどいてねえ。あれ? まだ、君たちいたの? 他の学校だったらとっくに退学だよ。バカだもん。ボランティアじゃないんだからこの学校は、ね。あ、新車だから触んないでね。ワックスかけたばっかりだから、バカは触っちゃダメよ。ね、もうちょっと離れて、離れて、ね。ね、ね、ね、気をつけてね」

と、橋田先生がマサルとシンジにのとまわってしまったばっかりに、何者かに(おそらくマサルとシンジ)せっかくの新車を焼かれてしまう。口は災いのもと、大人は自分の発言に責任を取らされるということがよくわかった橋田先生の名言だった。

名言5・・・ヤクザの組長

ヤクザの組長「コラァ、止めとけ、コラ! アンちゃん悪かったな。親父! これで好きなもん食わせてやって」

マサルとシンジが中華料理店でビールとタバコを頼むと、たまたま居合わせたヤクザに因縁をふっかけられる。怖い物知らずのマサルは対抗しようとするが、兄貴分のヤクザが上記名言で制し、ワビとしてふたりに気前よく振舞ったのだった。石橋 凌、かっけぇ~。

▲PAGE TOP

名言6・・・マサル

マサル「あの野郎、ボクサーだろ!? 絶対仇討ってやる!」
   

マサルは地下道で、以前にかつあげをした学生が呼んだボクサーにぶっ飛ばされてしまう。そのショックからか学校を数日休んだものの立ち直り、自身もボクシングに打ち込んでリベンジするとこを誓う。ああ~、高校生って単純なのねと思わせてくれるマサルの名言だった。

名言7・・・ヤクザの組長

ヤクザの組長「そっかあ、まあいいやなあ、な。若いうちは何でも好きなことやりゃあいい。でもヤクザなんかなっちゃダメだよ。こんなんなっちゃうからな。まあいいや、座んな」

中華料理店で再会したマサルとシンジから、「ボクシングを始めました」と挨拶をされて返した、ヤクザの組長の自嘲的名言。マサルはヤクザの組長の気風の良さに憧れを抱いてしまうのだが、そのことが後々マサルの人生に大きな影響を及ぼすことになる。

名言8・・・マサル

マサル「本気でやれよ! 俺も本気でやるから。わかった? 構えて。はい、カーン!」
   

因縁の相手のボクサーはなんとマサルと同じジムに所属するプロボクサーで、マサルの強引な要求によりスパーリングで激突することになったが、頭に血の昇ったマサルはゴング前に急襲。会長以下、ジムの指導員達に呆れられてしまうも、治まらないマサルは今度はシンジとスパーリングをすることに。しかし運命は非常で、シンジとのボクシングセンスは雲泥の差があり、完膚なきほどに打ちのめされてしまうのだった。そしてマサルはこの後・・・・・・。

名言9・・・シゲさん

ジムのコーチ「あいつ、結構いいセンスしてますよ。昨日見てたら、教えてないカウンター打てるんですから」

ジムのチーフトレーナーであるシゲさんはシンジのボクシングセンスを見抜いており、マサルがジムを退会したことでシンジも辞めると申し出るが、会長とともに強く慰留する。説得によりシンジが翻意してくれたため、ジムとして熱を入れて指導していくことに決定。

名言10・・・林

林「飲んでも食っても後で吐きゃあいいんだよ。舌は憶えてんだからさ。あのなあ、ボクサーとモデルって同じようなもんだよ。よくいるだろ、吐いちゃう奴? 飲めよ」

ジムの先輩・林が、シンジを連れて行った居酒屋での名言。三流ボクサーの林は、金の卵であるシンジをやたらとかわいがり、ボクサーにとって大敵の酒の味を何かにつけて教えようとする。こんなダメな人間と付き合ってはいけないのだが、シンジはつい林と行動してしまうのだった。

▲PAGE TOP

名言11・・・ヤクザの組長

ヤクザの組長「こいつらか? 何やってんだ、早いとこ獲っちまえこんなもん。殺れっつってんだよ! 殺れ! 早く! カズオ、これ持って警察行ってこい。ほんで、九州の兄弟分にはもう話ついてっから、しばらく、遊んでこい。な」

シマを荒らす関西勢力を捕らえたのにも関わらず、処刑をためらう組の幹部に、怒声を浴びせ実行させたヤクザ組長の名言。これだけのセリフを、さらっと言ってのける石橋凌はやはりかっこ良すぎ。リアリティーあふれる迫真の演技なのだ。似合うな~ヤクザ。

名言12・・・林

林「歳だなぁ~、俺も。
全然、体、動かねえよぉ」
  

三流ボクサー・林の試合に負けた言い訳は、さすがの名言。見ている誰もが、体が動かないのは歳ではなく、酒とタバコを呑んでしまう、ボクサーとしてあるまじき自堕落な生活態度だと突っ込みを入れてしまう。こんな男にシンジが毒されていくなんて・・・・・・不憫!

名言13・・・マサル

マサル「お前がチャンピオンになって、俺が親分になったら、また会おうや。じゃあな」
   

ボクシングセンスに恵まれるシンジは、ボクサーとして順調にキャリアを重ね、新人王を獲得。その頃マサルも、極道としてキャリアアップを果たしており、運転手や付き人を従えるまでに成長していた。マサルは自分の姿を見せたかったのかジムで練習するシンジの前に現れるも、会長の注意を受け素直に立ち去る。シンジがあわてて駆け寄り声をかけると、マサルは上記名言を言ってのけたのだった。

名言14・・・林

林「っんだよ~。強い奴はいつも強いんだよう。そんな堅気ばっかりやってちゃあ、いけないよ。弱い奴が酒やめたからっつったってどっちにしろ弱いんだから。強い奴はどっちにしろ強いんだよ」

三流ボクサー・林の、ボクサーとして節制を説くどころか、自堕落的生活をシンジに薦める、さすが林!といいたくなってしまう名言。練習をしない、タバコを吸う、酒を飲む、飲み食いした物はすべて吐くという生活で、プロのリングに立ち続ける林だから言えた、『キッズリターン』屈指の名言。

名言15・・・林

林「会長、頭古いからなぁ~。酒やめろ、女やめろ、遊ぶなって無理なことばっかり言って。あれで何人もボクサー潰されたんだぞ。前のチャンピオンもそうだよ。結局それで潰されたんだよ。飲めるようになったじゃん? 強い奴はどっちにしろ強いから」

三流ボクサー・林の居酒屋トークがとまらない。結局、シンジを自身と同じ自堕落な道へと誘い込むことに成功。こういう悪い先輩って世の中にけっこういるもの。努力している、苦労している人間は、ダメ人間に優しく接せられるとつい心を許してしまうものなのだ。ボクシングは弱くとも鬼だ、この男。

▲PAGE TOP

名言16・・・マサル

マサル「うるせぇー! 俺はそんな腐れヤクザじゃねぇーんだよ!」
   

マサルの親分(石橋凌)は対抗勢力のヒットマンに射殺されてしまう。本家で傘下の組織の幹部たちが集結し、今後の対策を協議する中、マサルは若気の至りと言い訳ができない暴言を会長に吐き捨ててしまう。当然、口から出た言葉に責任を取らされてしまうのだった。

名言17・・・林

林「なかなか減量できないの? これ、飲めば? 2~3kgはすぐ落ちちゃうから。だけど便所ばっかり行ってしょうがないぜ」

三流ボクサー・林の悪魔トークがとまらない。シンジは林との付き合いでボクサーとしての身を持ち崩してしまい、減量できない体質に代わってしまった。会長にどやされへこむシンジに、責任を感じた林は下剤を手渡す。そんなことしたら余計に体が・・・・・・。

名言18・・・マサルとシンジ

マサルとシンジ「シンジ 『マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?』
マサル 『バカ野郎ぉ! まだ始まっちゃいねーよ!』」

夢破れてしまったマサルとシンジは、自転車を二人乗りして母校に戻る。ボクシングに挫折したシンジは儚げにマサルに聞くが、ヤクザに挫折したマサルは一笑に付してシンジを鼓舞するのであった。マサルの言葉は、『キッズリターン』というだけではなく、日本映画史に残る名言となった。完。

キッズ・リターン [DVD]

新品価格
¥2,536から
(2013/9/3 01:37時点)

北野武監督関連作品

アウトレイジ

アウトレイジビヨンド

ソナチネ

その男、凶暴につき

キッズ・リターン [DVD]

新品価格
¥2,536から
(2013/9/3 01:37時点)

inserted by FC2 system