「凶暴な男、ここに眠る。」がキャッチコピーのヤクザ映画。北野武の名を世界に知らしめた名作で、イギリスのBBCが制作した「21世紀に残した名作映画」に選出された。しかし、公開当時(1993年)の国内での評価は散々で興行的には大失敗だった。
『アウトレイジ』などはエンターテインメントの要素が強いバイオレンス映画であるが、『ソナチネ』は純バイオレンス映画ともいえる狂気性に溢れた作品。賛否両論渦巻く映画であるが、これぞ北野武という凄みが支配する作品でもある。
名言1・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「バカはてめぇじゃねえか」
『ソナチネ』は村川が雀荘の経営者を恫喝した上記名言から始まる。村川は、雀荘の経営者が村川のシマに出店した飲み屋のショバ代を要求するも、雀荘経営者は拒否。この後、雀荘経営者はショバ代を払っておけばよかったという自体に陥る。
名言2・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「殺っちゃうか」
村川が雀荘経営者を殺すことを決断した名言。淡々と至極冷静に、殺すことを宣言する村川には戦慄を覚えずにはいられない。やっぱりショバ代を払うといっときゃあいいのにと、雀荘の経営者に観客ながらに同情してしまったシーンである。
名言3・・・ケン【村川組構成員】
「田中、運転大丈夫だよな? お前らあの麻雀屋知ってるよな? じゃあ、夕方から行ってろよ。後で連絡すっから」
実に淡々と雀荘経営者の殺害計画は進行していく。村川の付き人であるケンは、舎弟にあらかじめ雀荘に潜入しておくことを指示。頃合を見て、雀荘の経営者を拉致し殺害する予定のようだ。ああ、ショバ代を払うと言っておけばこんなことにはならなかったのに・・・・・・。
名言4・・・高橋【北島組幹部】
「俺はお前、親分の面倒とか組のまとめとかやんなきゃいけねーだろ。行きたくたって行けねえんだよ」
北島組と兄弟分である沖縄の中松組が、沖縄の一大勢力である阿南組と戦争に。そこで北島組からは村川組を沖縄へ派遣することに。勝手に決められ納得のいかない村川は北島組幹部の高橋に凄むも、高橋はなんやかや理由をつけ、自身は沖縄入りしないことを明言。
名言5・・・高橋【北島組幹部】
「ぶふっ・・・・・・ふう」
村川からリンチを受けた直後の高橋の名言、というよりも失神前に息が漏れただけ。高橋が村川に命じた沖縄行きは、村川組が弱体化する原因になりかねず、村川の高橋に対する怒りが爆発。腹への膝蹴り連打からの顔面パンチの雨あられ。懐かしい表現を借りれば、まさにフルボッコ。
名言6・・・雀荘経営者
「村川さん、やめてくださいよぉ! 村川さん・・・・・・やめてくださいよぉ! 村川さんやめてくださいよぉ! 村川さん! 村川さぁん! 村川さぁーん! 村川さぁーん! やめ、やめでぐだざいよぉ! うわはぁ! ううっ」
雀荘経営者は村川組により拉致されてしまい、手足を縛り上げられたうえ、クレーン車に吊るされてしまう。村川は「ひでぇことするな」と笑いながら、クレーン車のアームを海へと下ろし、雀荘経営者の死刑を執行。雀荘経営者の断末魔の叫びだった。こんな風に溺死はしたくないなあ。
名言7・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「なんだ生きてるじゃねーか。3分ぐらいやってみっか」
雀荘経営者を海に沈めた2分後、すでに死んだものとクレーン車を上げてみると、なんと雀荘経営者はまだ生きていた! なんという生命力! が、村川は淡々と再度の死刑執行を命じるのであった。雀荘経営者は当然ながら溺死する。何気に恐怖のシーンである。
名言8・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「俺がくたばったら嬉しいだろう? うひぃひぃひぃひぃひぃひぃ」
嫌々ながらも親には逆らえず、沖縄に行くことになった村川組。北島組の事務所で村川と、北島組が召集したヒットマンや鉄砲玉たちとの顔合わせでの一幕。村川に皮肉染みた名言を吐かれ、「ああ、安心して便所行けるしよう」と応じる高橋もさすが。
名言9・・・上地【中松組幹部】
「向こうの挨拶代わりですから。こんなこと、よくあることですから、これでもう手打ちでしょう」
村川組が沖縄に到着してすぐ、阿南組にいきなり拳銃を打ち込まれてしまう。ただならぬ状況に村川たちはわかりやすく引いてしまうも、上地がなだめ落ち着かせるために言った名言。沖縄は、村川たちが考えていたよりもよっぽどヤバイ状況だった。
名言10・・・酒井【北島組ヒットマン】
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・・・・・・・」
繁華街のスナックで酒を飲んでいた村川組一同は、阿南組ヒットマンに襲撃される。大銃撃戦となり、村川、村川組若頭・片桐、上地は奇跡的に生き残るものの、北島組から派遣されていたヒットマンの二人は銃弾に倒れてしまう。今回の名言は死に行くヒットマンの荒い息遣い。
名言11・・・ケン【村川組構成員】
「お前ちゃんと狙えよな。缶狙うんだぞ。危ねーじゃねえかよバカ野郎、お前! この辺、通んなかったか、おい!」
阿南組の襲撃を避けるため、村川たちは海岸に立つ辺鄙な小屋に身を隠すことに。そこでの生活は時間が遅く流れ、暇になった村川組のケンと中松組構成員の良二は、缶を頭に乗せて拳銃で射抜くという馬鹿げた遊びで時間をつぶす。良二の弾丸はケンの耳のすぐそばを通った模様。
名言12・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「ジャンケンだよ、ほら! ほら! ジャンケン、ほい! ウヒィヒィヒィヒィ、俺? あはははは、ほら」
ケンと良二の馬鹿げた遊びを見ていた村川は、彼らの遊びに加わり、ジャンケンに負けたら引き金を引くという危険すぎるロシアンルーレットを強制する。2度ケンが負けるも弾は出ず、ラストで負けたのは村川。こめかみに銃口を当て引き金を引くも弾丸は発射されず。アハハと笑う村川であるが、トリックだとわかったケンと良二は呆れ果てる。『ソナチネ』で1~2位を争う名シーンである。
名言13・・・海岸に現れたレイプ魔
「おい! お前ずっと見てたのか!? のぞきか? ひとがやってるの見てて楽しいのかよ。どうなんだよ!!! 殺すぞ、シャレじゃねぇんだぞ、ノド、掻っ切ってやろうか! 冗談・・・だろ・・・ぐふっ」
村川が夜風に当たりたたずんでいると、車が一台現れ、男が女を海岸に押し倒しレイプしようとする。その様子を眺めていた村川だが、しばらくして立ち去ろうとするも、レイプ魔はあろうことか村川に絡んでしまう。レイプ魔は腹に銃弾を2発浴び、あえなく死亡。相手が悪すぎた。
名言14・・・幸
「平気で人撃っちゃうの凄いよね。平気で人殺しちゃうってことは、平気で死ねるってことだよね? 強いよね。わたし強い人大好きなんだ」
村川がレイプ魔を射殺したことで助かった幸は、すっかり村川に惚れ、いつの間にか村川たちの隠れ家に通うようになる。上は、幸が軽い感じで村川に聞いた名言だが、男だったらこんな怖い人にかる口はちょっと聞けない・・・・・・。さすがに女性は強いのだった。
名言15・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「あんまり死ぬの怖がるとな、死にたくなっちゃうんだよ。ははははは」
幸から「死ぬの怖くないでしょ?」と聞かれて答えた村川の名言。村川は死の恐怖を克服した精神の持ち主で、それは他人の死についても同様、まったく恐怖心がない。そのため、ここまで冷静かつ残忍に人を殺し続けてきた村川だから吐ける名言といえる。
名言16・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「平気でおっぱいを出しちゃうんだもんなあ、凄いよなあ」
村川と幸は突然の豪雨に遭う。急いで小屋へと帰るが、幸は村川を茂みへと誘い着ていたTシャツを脱ぎおっぱいを見せる。上記名言は幸に「凄い」と言われたことに韻を踏んでいる。それにしても村川はおっぱいを見られて嬉しそうだ。そして幸のおっぱいは確かに凄い。
名言17・・・片桐【村川組若頭】
「高橋捕まえて、締め上げるしかないなあ。兄貴も引くに引けなくなっちゃったしな」
北島組幹部・高橋の暗躍により、中松組は解体、村川組は破門ということで、阿南組と手打ちとなる。しかし、高橋の雇ったヒットマンにより、中松組組長・中松を始め、村川組構成員であるケンまで射殺されてしまい、村川は北島組との戦争を決意。その村川の気持ちを代弁した片桐の名言だった。
名言18・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「高橋」
『ソナチネ』といえばこのシーン。高橋と殺し屋、村川、片桐、上地が沖縄市内のホテルのエレベーターで鉢合わせする。村川が「高橋」とつぶやいたことで大銃撃戦となり、村川と高橋、たまたま乗り合わせた女以外は全員死ぬ。エレベーターの逃れられない恐怖・・・・・・衝撃シーンなのだ。
名言19・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「車焼いちゃって、どうやって帰んだよ」
村川は高橋を拘束し、足を拳銃で射抜くというむごい拷問で事の真相を聞きだす。高橋がすべてを語ると、最後は良二が手榴弾で、高橋のいる車ごと爆殺する。しかし殺した後、足である車を失ったことに気づき、村川がポロッとこぼした名言だった。
名言20・・・幸
「これ撃ってもいい?」
村川は幸に別れを告げ、単身、阿南組と北島組の会合に乗り込むことを決意。村川のバッグにはアサルトライフルのM16が入っていた。幸は敏感に、村川のこれからのことを感じ取り、はなむけのためか、M16を豪快にぶっ放したのだった・・・・・・。
名言21・・・M16【アサルトライフル】
「ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ!」
阿南組と北島組の会合に単身乗り込んだ村川は、M16を豪快にぶっ放し、居並ぶヤクザたちを次々に倒していくのだった。ホテルの外からその光景を目の当たりにした良二は、M16の乾いた銃撃音に恐怖し、逃げるようにして走り去っていった。
名言22・・・村川【北島組傘下村川組組長】
「・・・・・・。・・・・・・。・・・・・・。」
M16で阿南組と北島組を襲撃した村川は生きており、幸が待っている身を隠していた小屋に戻ろうとするも、帰路の途中、死にたくなってしまったのか、突然、ピストルで頭を射抜き自害する。その後、無表情で村川の帰還を待つ幸のアップで『ソナチネ』は幕を閉じるのであった。完。
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