張本勲の名言

張本勲、喝!

張本勲氏は広島県出身の在日韓国人二世で、日本プロ野球で史上唯一の3000本安打を達成した偉大なる打者。幼少期に右手指を失う事故により障害者となっただけではなく、アメリカによる原爆投下による被爆者でもあり、それだけのハンディキャップを背負いながらも当代随一の打者にまで成長した氏の記録は偉業中の偉業なのだ。

そんな氏の名言を、プロインタビュアー・吉田豪氏の著書『男気万字固め』より引用。張本氏の言葉は非常に熱く、刺激的なものばかり。普段テレビで「喝!」ぐらいしか張本氏の言葉のイメージがないひとほど、偉人・張本氏の名言を楽しんでほしい。

張本勲の名言1

張本勲「(野球は)確かに一種の格闘技ですからね。露骨に頭めがけてボール投げて打ち取るような手段はいけませんけど、ルールのある喧嘩みたいなもんですから。闘争心を持って臨まないとこの商売は勝ち抜いていけませんよ」

張本勲氏といえば球界の暴れん坊として有名。しかし、プレイ中に退場処分を受けたことはなく、試合中は常に冷静にプレイをしていたからこそ、偉大な記録を打ち立てられたのだろう。それに当時のプロ野球は凄まじく、平気でボールを当ててくる投手も多かったよう。そりゃ、キレますよ!

張本勲の名言2

張本勲「あの頃は肘当てなんかないから。いまはもう鎧着てバッターボックス入ってるから、ちょっと真剣味が薄れるよね(笑)」

今のプロ野球は耳、肘、脚部などなど、様々なプロテクターを身に着けているが、張本氏の現役時代は身を守る物はヘルメットぐらいのものであったため、死球を受けた肘は変形してしまっているのだとか。そんな張本氏だから、「喝!」ってやっぱ言いたいんだろうなあ。

張本勲の名言3

張本勲「激情型なんですね。非常にまあ自分の気持ちを抑えにくいタイプですよね。いまはだいぶ変わりましたね(笑)。よく言われますよ、『ものすごい人間変わった』って」

こういう言い方をしたら差別になるかもしれないけれど、日本人が抱く韓国人といえば、激情型かつ直情的な性格。悪いというわけではなく、張本氏は血から溢れ出る闘争心を冷静にコントロールできる心があったからこそ、凡百な日本人選手のはるか上まで行けたのだろう。

張本勲の名言4

張本勲「その日の食事も困るような家庭環境でしたからね。そりゃあんた6畳1間でトタン屋根でお袋が朝早く飯作ってくれるのを見ると、子供心に『なんとか楽させてやりたい』という気持ちになりますわな」

素行不良な学生時代を過ごした張本氏であるが、喧嘩に明け暮れた・・・・・・というわけではなく、あくまで野球をメインにした生活をおくり、高校は紆余曲折あって大阪府の浪華商業高等学校に入学。が、平穏な学生生活はおくれずやっぱり何かと事件が起こってしまうのだった。

張本勲の名言5

張本勲「あのときは1級上の先輩をひっぱたいたら相手が瀕死の状態になっちゃってね。(中略)どうにか助かりましたから良かったですよ」

まるで漫画の世界のようなガキ大将であった張本氏であるが、相手に瀕死の重傷を負わせてしまい、自身の左手の強さに気が付き、猛省したという。現在では喧嘩など何一つプラスにならないから絶対にやってはいけないと唱える。説得力、大アリ!

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張本勲の名言6

張本勲「これは本当の話なんだけど言っていいのか悪いのか・・・・・・。こっちは、匕首(あいくち)持って乗り込んで行ったんです」

いわれなきことで野球部を干されてしまった張本氏は自暴自棄となり、盟友の山本集氏と一緒に再び喧嘩を繰り返すようになる。とあることで大学の空手部と対峙することになった二人は、あいくち、つまりドスで威嚇し撃退という。高校生のやることじゃないな、絶対。

張本勲の名言7

張本勲「江戸に行かしてくれ。男はやっぱり江戸で勝負したいんだ!」
  

野球を諦めかけた張本氏であったが、超高校級の打撃力が評価され東映フライヤーズと中日ドラゴンズからお声が掛かった。中日よりも契約金が低かったものの、張本氏は自身の想いから東映を選択。そのお金で家を建て、親孝行をしたという。いい話や~。

張本勲の名言8

張本勲「いまの練習と違うのは、痛いとすぐ休むよね。でも我々の頃は、『それは弱いから痛いんだ、もっとやれ』って言われて、黒ずんで内出血してもやったんですよ(笑)。(中略)不思議なんだよね。2ヵ月ぐらい経ったら痛みが取れて、強くなりましたよ」

プロ入りすぐ結果を残した張本氏であるが、それはたゆまぬ努力を重ねたから。右手のハンディを克服するため、徹底した右手一本打ちで鍛え抜いたという。しかし、結果を残したことで天狗になりオフに女も酒もやったことを、今だに悔やんでいるんだそう。よ! Mr.ストイック!

張本勲の名言9

張本勲「ジャイアンツの松井はどうかと言うと、私から見ると非常に練習量が少ないし、免許皆伝まではやれない(キッパリ)。松井で然りですから、他の選手はもう言語道断だね(笑)」

張本氏の現役時代と比べれば、現代のプロ野球界の環境は非常に恵まれており、張本氏以上の記録が出て然るべきであるのに記録が更新されないことに憤る。張本氏は、現代の野球選手たちの才能は認めるものの練習不足と断罪。偉大過ぎる先輩を持つと後輩は・・・・・・辛い。

張本勲の名言10

張本勲「アメリカで大失敗した制度を、この優秀な民族がなんで後ろからノコノコついて行くのか、私はとても理解できない!」

張本氏は現代の野球が頽廃したのは、複数年契約・年俸の高騰・FA制度による一部選手だけがいい思いをする、選手を甘やかしすぎる制度にあるという。張本氏は、もっと厳しい条件で競わせることをしなければ、自身や王貞治氏の記録は塗り替えることは出来ないと指摘する。

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張本勲の名言11

張本勲「私の念願はアジアリーグを作ることなんですよ。こんな小さい国の日本が1チームだけでアメリカに追いつけ追い越せなんてとんでもねぇよ、そんなもん! アジアリーグで一体となってアメリカと勝負をするんなら互角で勝負できますよ。それで太平洋を挟んで世界一を極めるとか、そういう夢の実現をしてもらいたい」

張本氏の構想はすべて実現し、アジア各国リーグ優勝チームによるアジアシリーズ、野球のワールドカップであるWBCが開催されている。日本はアジアシリーズ、WBCのいずれもNO.1の成績を残しており、張本氏からしたら甘っちょろく見える現代の野球マンも世界有数の実力者たちなのだ。それにしても張本氏は先見性がありすぎなのだ!

張本勲の名言12

張本勲「我々の頃は1日野球ですよ。悔しいし、不安だし、その日の失敗を思い出したら恥ずかしくて眠れないし、上手くいったらいったで興奮して眠れないし(笑)。それでどうするかっていうと、やっぱり練習なんですよ。振って、振って、振りまくって、その考えがなくなるぐらいまで振り抜いてね。(中略)やっぱり自分自身を安心させるためにはバットを振りまくるしかない。20年経ちましたけど、いまでもタコが取れませんよ。だから、中の中の中までタコになってるわけですよ」

張本氏のあまりにかっこいい名言。バットを振っても振っても不安はなくならず、それでも振ってなんとか安心できて眠りについたのだという。張本氏にとって野球こそ人生であり、野球で誰よりも努力したことが一生の誇りなのだろう。だから後輩たちには辛口になってしまうのかもしれない。

張本勲の名言13

張本勲「世の中、いくら帽子でも手を掛けたほうが負けなんだね。(中略)合理が不合理になる。『頭がフラフラするから暴力だ』言うからね、『ホントの暴力教えたろか』と思ったよ」

試合中の退場は一度もないものの、球場の内外で問題を起こしてきた張本氏。タクシーの運転手に事故を起こされかけたことに腹を立て、思わず帽子を張ってしまいオールスター辞退に追い込まれてしまう。今の選手に努力が足りないと喝を言うけれど、若い頃のご自身も我慢が足りないなあ。

張本勲の名言14

張本勲「俺は広島県人や。あんたらの中に広島県人はおらんだろ。本当の広島県人にそんな卑怯な奴はおらんよ。俺はやったらやったって言うぞ」

有名な広島事件で男の中の男・張本勲が吠えた名言中の名言。ファンの暴動を、後輩の同僚がバットで制してしまったが、世間は張本がやったと騒ぎ立てる。しかし、張本氏は黙して語らず、後輩が自分を守るために取ってくれた行動ゆえに罪をかぶり続けた。新聞報道により真相を知ったファンたちは張本に土下座して謝罪。張本氏は上記名言を言ってのけたのだった。
これにて『男気万字固め』から引用した張本勲の名言は完。ここに掲載した以外にも、例えば力道山との微笑ましいエピソードなども満載されているので、ぜひ本著をご一読していただきたい。

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